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東京地方裁判所 昭和46年(ワ)3093号 判決

原告(反訴被告)

辻村寅次郎

右訴訟代理人

大橋光雄

被告(反訴原告)

杉浦力三郎

被告(反訴原告)

細川護立

右両名訴訟代理人

野村次夫

主文

被告(反訴原告)杉浦力三郎は、原告(反訴被告)に対し、金四六万〇一〇〇円およびこれに対する昭和四七年一月一日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

原告(反訴被告)の被告(反訴原告)杉浦力三郎に対するその余の請求および被告(反訴原告)細川護立に対する本訴請求はいずれもこれを棄却する。

反訴原告ら(本訴被告ら)の反訴被告(本訴原告)に対する反訴請求はいずれもこれを棄却する。

訴訟費用は、本訴反訴を通じてこれを二分し、その一を原告(反訴被告)の、その余を被告ら(反訴原告ら)の負担とする。

この判決は、主文第一項に限り、仮に執行する。ことができる。

事実

第一  当事者双方の求める裁判

(本訴について)

一、原告(反訴被告、以下「原告」という。)

(一) 被告らは、原告に対し、各自金九三万七、〇〇〇円およびこれに対する昭和四七年一月一日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。

(二) 訴訟費用は被告らの負担とする。

(三) 第一項につき仮執行の宣言。

二、被告ら(反訴原告ら、以下「被告ら」という。)

(一) 原告の請求を棄却する。

(二) 訴訟費用は原告の負担とする。

(反訴について)

一、被告ら

(一) 原告は、被告らに対し、別紙物件目録(三)記載の土地を明渡せ。

(二) 原告は、被告らに対し、別紙物件目録(二)記載の土地について、東京法務局板橋出張所昭和二四年六月一六日受付第六四六六号をもつてなした所有権移転登記につき92.06坪(304.33平方メートル)を五五坪(181.81平方メートル)と37.06坪(122.51平方メートル)に分筆したうえ、37.06坪(122.51平方メートル)の部分について抹消登記手続をせよ。

(三) 訴訟費用は原告の負担とする。

二、原告

(一) 被告らの反訴請求をいずれも棄却する。

(二) 訴訟費用は被告らの負担とする。

第二  本訴請求原因

一、原告は、昭和二三年二月二五日、被告杉浦から、同人所有の別紙物件目録(一)記載の土地(以下「本件(一)の土地」という。)の内五五坪と右土地上の木造瓦葺平家建居宅一棟(但し造作一式付)を代金一九万円で買受け、同日右代金を支払つて所有権を取得したが、土地が手狭であつたため、さらに昭和二三年三月頃被告杉浦から本件(一)の土地の内37.06坪を代金七、四一二円(一坪金二〇〇円)で買受け、その所有権を取得し、本件(一)の土地の内92.06坪と右地上建物の引渡を受けたので、その頃、家族とともに右建物に転居し、居住することになつた。

二、原告は、その後被告杉浦に対し、何回となく右土地について所有権移転登記手続をするよう求めてきたが、これに応じなかつたので、原告においてその事情を調査したところ、原告が被告杉浦から買求めた右土地は被告杉浦が被告細川から買受けた後原告に転売したもののいまだ登記名義が被告細川になつていることが判明したので、原告は、登記名義人である被告細川に対し、所有権移転登記をするよう求めて交渉した結果、昭和二四年六月一五日に至つて、被告細川から、別紙物件目録(二)記載の土地(以下「本件(二)の土地」という。)の分筆を受けたうえ、東京法務局板橋出張所昭和二四年六月一六日受付第六四六六号をもつて原告名義の所有権移転登記を経由した。

三、しかるところ、昭和四三年五月頃に至つて突如訴外東京都は、原告を相手として豊島簡易裁判所に調停の申立(同裁判所昭和四三年(ユ)第一〇〇号)をし、原告が昭和二三年二月二五日被告杉浦から買受けた本件(二)の土地の内44.44平方メートルは東京都が所有する東京都豊島区高田一丁目三番一四号の宅地(旧表示高田南町一丁目三番一四号廃川敷地、以下「本件都有地」という。)であるから、その所有権に基づき原告建物の収去と原告の占有する本件都有地の明渡を求める旨請求してきた。しかしながら、原告は、仮に本件(二)の土地に本件都有地が含まれているとすれば、それは本件(二)の土地の売主である被告らが責任を負うべきものと考えたので、被告らを利害関係人として調停期日に出頭するよう求めるとともに調停期日に出頭した被告らに対し、被告らの責任において解決するよう説得したが、被告らは、原告に売渡した土地は92.06坪でなく五五坪であるから被告らに責任がないと主張して互に責任を他に転嫁したため、遂に豊島簡易裁判所の調停は不調となつた。そこで東京都は、昭和四四年春頃、東京地方裁判所に対し原告を相手として建物収去土地明渡の本訴(同裁判所昭和四四年(ワ)第四〇六五号)を提起するに至つたのであるが、右訴訟において原告は、東京都がその所有であると主張する本件都有地は原告が被告杉浦から買受けた本件(二)の土地の一部に属するものであること、仮にそうでないとしても原告は時効によつて本件都有地の所有権を取得したものであると主張して争つたが、右訴訟において原告側の重要な証人として出頭した被告杉浦は、東京都がその所有と主張する本件都有地は、同被告が原告に売渡したことも引渡したこともない旨の供述をしたため、原告が敗訴することが必至となつた。そこで原告は、やむを得ず、昭和四六年一二月一四日東京都との間に、原告が同日東京都から東京都所有の本件都有地を代金四〇万三、〇〇〇円で買受ける旨の訴訟上の和解をなし、同年一二月二四日までに右金額を支払い、さらに登録免許税金五万七、一〇〇円を負担して、同日所有権移転登記を経由した。

四、ところで、被告らは、原告に売渡した本件(二)の土地の一部に都有地が含まれていることが判明したのにかかわらず、この部分の土地を原告に売渡したことがないと争い、都有地を被告らにおいて取得したうえ、これを原告に移転することが困難となつた結果、叙上のとおり原告においてやむを得ず東京都からこれを買受け取得したものであるから、売主としての被告らに民法五三六条ないし五六五条に定める担保責任を負わせるべきところ、その額は、都有地の買受代金四〇万三、〇〇〇円、東京都に支払つた土地の使用損害金一万六、九〇〇円のほか原告が出捐を余儀なくされた登録免許税金五万七、一〇〇円、事実関係の調査費・測量費金一五万円、原告と東京都間の訴訟と本訴訟における弁護士報酬金三〇万円とするのが相当である。

五、仮に被告らに売主としての担保責任がないとしても、被告杉浦は、原告と東京都間の訴訟において、東京都がその所有と主張する本件都有地を原告に売渡したことも引渡したこともない旨の虚偽の証言をなし、かつ被告細川も当初自己に責任あることを認めながら後日前言を翻えして、東京都が都有地と主張する範囲の土地は原告に売渡したことがない旨主張して、東京都間の訴訟において、原告を窮地に陥れ、遂に東京都から係争土地を買取ることを余儀なくさせたものであるから、被告らは共同不法行為者として、原告が出捐した前記の金員を損害として賠償すべき責任がある。

六、よつて、原告は被告らに対し、各自金九三万七、〇〇〇円およびこれに対する昭和四七年一月一日から支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金の支払を求める。

第三  本訴請求原因に対する答弁〈省略〉

第四  反訴請求原因

一、被告杉浦は、昭和二三年二月一五日原告に対し、本件(一)の土地の内五五坪と右地上の建物を代金一九万円で売渡したが、その移転登記をする際、被告らの代理人である訴外原野高明が被告細川から権利証、印鑑証明書、委任状等を託されたのを奇貨としてほしいままに原告のため本件(一)の土地の内92.06坪の分筆登記をしたうえ、これを東京法務局板橋出張所昭和二四年六月一六日受付第六四六六号をもつて原告名義に所有権移転登記手続をしてしまつた。

しかしながら、被告杉浦は、原告に対し、本件(一)の土地の内37.06坪を売渡したことはないから、原告は、前登記名義人である被告細川かあるいは売主たる被告杉浦に対し、本件(一)の土地の内右37.06坪の所有権移転登記の抹消登記手続をなすとともに被告らから引渡を受けたとして占有する別紙物件目録(三)記載の土地を返還する義務がある。

二、よつて、被告らは、原告に対し、別紙物件目録(三)記載の土地の明渡しを求めるとともに本件(二)の土地についてなされた原告のための前示所有権移転登記の内37.06坪を分筆したうえ抹消登記手続をなすことを求める。

第五  反訴請求原因に対する答弁〈省略〉

理由

一原告は、昭和二三年二月二五日、被告杉野から同人所有の本件(一)の土地の内五五坪と右地上の木造瓦葺平屋建居宅一棟を代金一九万円で買受けたこと、原告は、被告細川から本件(二)の土地について東京法務局板橋出張所昭和二四年六月一六日受付第六四六六号をもつて所有権移転登記手続を受けたことは当事者間に争いがない。

二ところで、原告は、昭和二三年三月頃被告杉浦から同人所有の本件(一)の土地の内37.06坪を代金七、四一二円で買受けたと主張するのに対し、被告らはこれを争うのでまずこの点について判断するに、〈証拠〉によると、原告は、昭和二三年二月二五日被告杉浦から同人所有の本件(一)の土地の内五五坪と右地上の建物を買受けたが、敷地が狭隘であつたため、さらに昭和二三年三月頃被告杉浦から本件(一)の土地の内37.06坪を代金七、四一二円(坪金二〇〇円)で買受けたことが認められる。

〈証拠判断省略〉

三そこで、原告が被告杉浦から買受けた本件(二)の土地の範囲について検討するに、〈証拠〉によると、原告は、被告杉浦から本件(二)の土地を買受けた際、実測し面積が92.06坪存在することを確定したうえ引渡しを受けたものであるが、その範囲はほぼ別紙図面イ、ロ、ハ、a、ニ、リ、ホ、へ、ヌ、ト、チ、イの各点を直線で結んだ範囲であつたこと、当時別紙図面ニ、リ、ホの各点を結ぶ線上には高さ約六尺、幅約五ないし六寸のコンクリートの土留垣が存在し、かつ同図面イ、ロ、ハ、a、ニとチ、ト、ヌ、へ、ホの各点を結ぶ線上に板塀と生垣があつて近隣の土地とは明確に区画されていたこと、しかしながらその後東京都が測量調査したところによると、原告が被告杉浦から買受けた本件(二)の土地の中同図面リ、ホ、へ、ヌ、b、リの各点を結んだ範囲に東京都の所有する東京都豊島区高田一丁目三番一四号宅地44.44平方メートルが存在することが判明したこと、被告杉浦は被告細川から買受けた本件(一)の土地上に建物を建築したうえこれを他に分譲することを計画し、昭和二三年頃本件(一)の土地を六筆に分筆して五筆を譲渡したのであるが、分筆譲渡後に残つた東京都豊島区高田南町一丁目一番一の宅地の登記簿上の面積はわずかに27.06坪にすぎないのにかかわらず、実測面積は登記簿上の面積より約四一坪も多いことがそれぞれ認められる。

〈証拠判断省略〉

右認定の事実によれば、被告杉浦は、原告に対し、本件(一)の土地の内92.06坪を売渡す際、被告杉浦の所有地は別紙図面イ、ロ、ハ、a、ニ、リ、b、ヌ、ト、チ、イの各点に囲れまた部分で、その面積は五五坪であり、別紙図面リ、ホ、へ、ヌ、b、リの各点で囲まれた部分は東京都の所有地であるのにかかわらず、被告杉浦は、東京都の土地も同被告の所有地と誤認して測量したうえ本件(一)の土地から92.06坪を分筆し、その誤つた登記簿上の面積を表示し、かつ誤つた土地の範囲を指示して原告との間に売買契約を締結したものと判断するのが相当である。

四次に被告らの担保責任についてみるに、東京都は昭和四三年五月頃原告を相手方として豊島簡易裁判所に原告所有建物の収去と本件都有地の明渡を求める調停の申立をなし、被告細川も利害関係人として調停期日に出頭したが不調に終つたこと、その後東京都が東京地方裁判所に対し原告を相手として建物収去土地明渡の本訴を提起したが、昭和四六年一二月一四日原告は東京都との間に原告が東京都所有の本件都有地を代金四〇万三、〇〇〇円で買受ける旨の訴訟上の和解をなし、その代金をその頃支払つて所有権移転登記を経由したことは当事者間に争いなく、〈証拠〉によると、原告は、被告杉浦から本件(二)の土地を買受けた後約二〇年ぐらい経過した昭和四二年頃はじめて被告杉浦から買求めたものと確信していた本件(二)の土地に東京都の本件都有地が存在することを知らされたこと、東京都から申立てられた建物収去土地明渡の調停および東京都から提起された建物収去土地明渡の訴訟において、原告は東京都がその所有であると主張する本件都有地、すなわち別紙図面リ、ホ、へ、ヌ、b、リ、の各点で囲まれた部分の土地は、原告が昭和二三年二月二五日に被告杉浦から買受けた本件(二)の土地に含まれるものでありかつ前所有者であつた被告細川から直接所有権移転登記を受けたものであると主張して争うとともに、仮に東京都の主張が正当であるとすれば、他人の土地を自己の所有地と誤認して原告に売渡した被告らにその責任があるから、被告らはすみやかに東京都から本件都有地の払下を受けて原告に移転すべきことを求めたが、被告らは、本件都有地は売買の目的外であるから被告らに責任がないと極力主張してこれに応ぜず、また、被告細川は、当初原告に対し若干協力的な態度を示したが結局被告らはあくまでその責任を拒否したため解決するに至らなかつたこと、原告としては本件都有地の位置からみてこれを入手しなければ居住建物の一部を収去することを余儀なくされるため原告が当時役員をしていた野村証券株式会社の傍系会社である野村不動産株式会社の社員らを動員してその証拠資料の収集に奔走し、その確保に努力したが、前記訴訟に証人として出頭して供述した被告杉浦の証言内容や関係資料からみると、原告が敗訴することが免れ難くなつたため、やむを得ず、昭和四六年一二月一四日東京都との間に本件都有地を代金四〇万三、〇〇〇円で買受ける旨の訴訟上の和解をなし、同月二四日までに代金四〇万三、〇〇〇円を支払つて同日所有権移転登記手続を経由したことが認められ、右認定に反する証拠はない。

以上認定の事実関係によると、被告杉浦は、原告に対し、自己の所有地として売買した本件都有地、すなわち別紙図面リ、ホ、へ、ヌ、b、リの各点で囲まれた部分の土地の所有権を取得したうえ原告に移転すべき義務があり、かつ昭和四三、四年当時被告杉浦が東京都から本件都有地の払下を受けたうえで原告に移転することが理論上絶対不能とはいえなかつたが、同被告が本件都有地は売買の目的外であると極力主張してこれを拒否し、翻意する態度が全く窺われなかつたものであるところからみて、おそくとも昭和四六年一二月頃には、被告杉浦が本件都有地の払下げを受けたうえこれを原告に移転することはすでに取引観念上不能に陥入つたものというべく、しかして売主としての被告杉浦に民法五六三条所定の担保責任を負わせるのが相当である。

五進んで、原告が被告杉浦に対して請求しうべき損害の範囲および額について判断するに、まず、民法五六三条所定の売主の担保責任は、売主の債務不履行その他の義務違反によるものではなく、売買が有償契約であることを根拠として、物の交換価値ないし利用価値と対価として支払われる代金額との等価性を維持し、当事者間の衡平をはかる見地から買主を保護するために、法律が特に認めた無過失責任であるから、その損害賠償の範囲についても、民法四一六条の規定をそのまま適用することなく、右のごとき売主の担保責任が認められるに至つた立法趣旨から合理的に判断し、買主が売主から所有権の移転を受けることができなかつたことによつて通常生ずべき損害、換言すれば、履行不能となつた当時における時価相当額に限定すべきものと解するのが相当である。

そこで、右のごとき観点に立つて本件をみるに、原告が被告杉浦に請求しうべき損害額とは結局原告が東京都から本件都有地を買受けるに要する相当な経費にほかならないというべきところ、原告が昭和四六年一二月一四日東京都から本件都有地を代金四〇万三、〇〇〇円で買受け、その頃右代金を支払つたことは当事者間に争いなく、〈証拠〉によると、原告は登録免許税として金五万七、一〇〇円を支払つたものと認められ、他に右金員が時価等に比して社会通念上不当に高額と認められる証拠もないから、原告が被告杉浦に請求しうべき損害は、結局東京都からの都有地買受代金四〇万三、〇〇〇円と登録免許税金五万七、一〇〇円の合計金四六万〇一〇〇円をもつて相当と判断する。

なお、原告は、右金員のほか東京都に支払つた土地使用損害金一万六、九〇〇円、事実関係の調査費金一五万円、弁護士報酬金三〇万円の請求するが、かかる支出が、原告が被告杉浦から本件都有地の移転を受けることができなくなつたことによつて通常生ずべき損害として計上することが許されるか否かについて多大の疑問があるのみならず、かかる支出が被告杉浦にとつて予見しまたは予見しえたことについては特段の主張・立証がないから、原告主張のごとき支出を本件の損害として肯認することはできない。

六さらに、原告は、被告らに共同不法行為を理由として、原告が東京都から本件都有地を買受けるに支出した代金四〇万三、〇〇〇円、登録免許税金五万七、一〇〇円のほか土地使用損害金一万六、〇〇〇円、調査費一五万円、弁護士報酬金三〇万円を請求するので考察するに、被告細川は、原告が東京都から原告所有建物の収去と本件都有地の明渡を求められた当初本件(二)の土地の前所有名義人であつた自己に責任のあることを認めながら後日前言を翻えし本件都有地部分は売買の対象外である旨主張するに至つたことは当事者間に争いなく、〈証拠〉によると、被告杉浦は、原告に対し本件都有地部分を売渡したことも引渡したこともないと主張し、かつ東京都と原告間の訴訟において、証人として出頭し、右と同趣旨の証言をなしたことが認められるが、被告らはことさら原告に対し、自己の信ずるところと異つたことを主張し、かつまた被告杉浦が自己の記憶と異なる虚偽の証言をし、原告と東京都間の訴訟において原告をして窮地に陥入れたと認むべき証拠は存在しないから、原告のこの点の主張もまた採用することができない。

七以上の次第であるから、被告杉浦は、原告に対し担保責任による損害賠償として金四六万〇一〇〇円およびこれに対する原告が東京都と国に右と同額の金員を支払つた後である昭和四七年一月一日から支払ずみまで民法所定年五分の割合による遅延損害金支払の義務あるものというべく、原告の被告杉浦に対する本訴請求は右の限度においてのみ正当としてこれを認容するが、原告の被告杉浦に対するその余の請求および被告細川に対する本訴請求はいずれも失当としてこれを棄却する。

次に被告らの反訴請求について考えるに、被告杉浦は、原告に対し、同人所有の本件(二)の土地92.06坪を原告に譲渡したものであることはすでに詳細に認定・判示したとおりであるから、被告らの反訴請求は、その余の点について判断するまでもなく失当としてこれを棄却する。

よつて、訴訟費用の負担について民事訴訟法第八九条、第九二条、第九三条を、仮執行の宣言について同法第一九六条をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。 (塩崎勤)

物件目録・別紙図面〈省略〉

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